2012年12月12日水曜日

1956 NASH Metropolitan !!

突然の依頼は、古くからのF-100仲間の紹介で入庫して来ました。

ナッシュのメトロポリタン。

購入してから、15年の月日が経っています。

かなりこれまで苦労されて来たようで、修理しても次のトラブルが心配だし、ききの悪いブレーキで、かなり前からポンピングブレーキをしないと、ぶつかりそうっだったらしく、何度か危険な目に合っているそうです。

ミッションが壊れ、5年程放置。

どうにか、普通に乗れる様にしてくれるショップは無いかと探している所、友人にパンプキン・サリーを紹介されたそうです。

東京は足立区。狭く入り組んだ道路。日常ほぼ渋滞。サイズ的には申し分ないメトロポリタンですが、調子が悪ければどうにもなりません。

いつ壊れるか心配で、だんだん乗らなくなり、乗っても近所をドライブするだけで、どこかに行こうとは思わなかったそうです。確かに、都内でトラブルと大変な事になります。私も絶対嫌です。

車を預かり、エンジンミッションの載せ変えの提案をして、予算を決めでスグに作業開始。

エンジンを下ろしたメトロポリタン。しかし、何を載せるかが問題。
4気筒FRでオートマチックが条件なので、色々探しましたが今時FRはそうそう有りません。古い車のエンジンだと、また部品に困るし。




色々調べた結果、ジムニーシエラ1300ccに決定!
ジムニーは、4WDですが、トランスファーが別にため、トランスファーを外せばただのFRになります。エンジンもコンパクト。



ジムニーシエラから下ろしたエンジンミッション。



積んでみると、ピッタリ!しかし、ヘダースが邪魔になるため、ワンオフで製作しないとダメです。



インテーを作ってキャブ?でもミッションのコントロールは?調べらすえ、ミッションはたいした事無さそうですが、インテークを作ったりなんだかんだするより、インジェクションを生かした方が早そうだし、メリットも大きいので、インジェクションで決定。
配線を調べ、エンジンとミッションをコントロールする配線だけを選んで、電源やアースを確保して行きます。


ワンオフのヘダース。O2センサーを付ければOK!




課題のブレーキ。寸法を測ると、現行の軽自動車よりきゃしゃな作り。
スズキの軽用を使う事に決定。



スピンドルとステアリングアームが特殊なメトロポリタン。ステアリング系まで変える予算は無いので、スピンドルはそのまま。キャリパーブラケットを製作。




ハブも、検討の結果少し削ればローターがピッタリ付くので、ハブもメトロポリタン。
軽のディスクブレーキを使ったもう一つの理由は、PCD。
メトロポリタンは、4インチ4ホール 4インチは101.6ミリ。
スズキの軽は100ミリの4ホール。半径で0.8ミリの違いなので、なんとかオリジナルホイールが使えそう。ローターの穴も無加工で取り付けられます。



キャリパーは、邪魔にならない位置に。左右を逆にして、フロント側にセット。
小さいマスターシリンダーでディスク化したので、ブレーキフルード(オイル)の量が足りません。パットが減るとマスターシリンダーのオイルは減りますよね。そこで、Wilwoodの5/8リモートマスターシリンダーに交換。エンジンルームでオイル量が確認出来るし、油量も確保出来ます。



問題のリヤアクスル。メトロポリタンのドライブアクスルシャフトは、折れるので有名。
なんとかしなくては!
やはり、スズキの軽のリヤホーシングを選択。でも、軽の方がワイドトレッッド。
ナローしなければなりません。
ドライブアクスルを外注で切断&スプラインの切り直しに出し。チューブもナロー。
さて、このリヤホーシングを選んだもう一つの理由は、ファイナルに有ります。
軽自動車のほとんどは、ファイナルが6.6ぐらいなので、かなりの高回転。シエラのミッションはオートマチックの3速、トップで1:1。高速道路ではエンジンがうなります。オーバードライブ無しの軽で高速走るのは嫌ですよね。
このスズキの軽のデフキャリアは、数車種で使われていて、最大4.090まで純正部品で変更出来ます。
迷わず4.090を選択。




エンジンを載せ、配線も終了。電動ファンもオートにし、メンテナンスフリーを実現。フューエルポンプも新品で、インタンクで収めました。古い車のインジェクション化は、色々な工夫やコツが有ります。やたらにやっても、トラブルを起こすのです。
補機類や消耗品のスターター、オルタネーター、ウォーターポンプ、タイミングベルトなどは新品やリビルトにし、むこう10年は問題無さそう。
ダッシュ回りも、オリジナルを重視して、シフトレバーもオリジナルを使い、その他のスイッチ類もオリジナル。フードを開けなければ国産エンジンだとは誰も解りません。

問題は、プロペラシャフト。
細くて長くなってしまいます。強度不足で1度壊しました。
強度計算をしても、とても耐えられる強度はとれません。ヨークはそのまま使いたいし。

悩んだ結果、2分割化に。現行車のほとんどのFRはセンターベアリング付きです。これは、細いまま強度を出す設計で、細いプロペラシャフトを使えばフロアのトンネルが小さくてすみ、室内空間を広くとれるからだと思われます。

強度計算しても、十分な強度が確保出来ました。

今回も、試行錯誤しながら1台の車がよみがえりました。かなり長い間試乗しましたが、すこぶる調子良く、私も欲しくなった事が、唯一の問題。

11日、めでたく納車いたしました。


THE NASHさん、オーナーの高橋さん、私の記念撮影。

乗りたいけど故障やブレーキでの事故が怖くて乗れない。でも、手放したくない。
こんな方法も、有りです。
現代の交通事情に合わせないと、乗れない車もあるんです。まして、大切な家族を乗せて危険な目に遭わせても、いけませんから。
車は走らなければ!
都内の何万円もする駐車場に、乗れない車を置いておくなんか、そうそうで来ません。

納車の時、質問されました「どこを日頃メンテナンスしたら良いですか?」メンテナンスはいりません!たまにオイルをみて下さい。「え〜メンテナンス無しで壊れないんだー」
「箱根とか、行っても大丈夫ですか?」「いろは坂はやめた方がいいですよね?」
「トラブルが怖くて家の近所しか乗ってなかったんです」
これからは、どこにでも行っちゃって下さい。旅行でもなんでも。
キーを回せば勝手にエンジンがかかるので、チョット買い物に行くのにも重宝します。