2018年9月14日金曜日

F-100.

オーバーヒート気味、その他諸々でお預かりしたF-100。

フォードのオリジナルラジエターにフォードビックブロックのコンビ。

基本的に走っている時オーバーヒートしなければ、アイドリング時の冷却効率が悪いという事がほとんどです。



モータファンはカップリング付きになっていました。アメリカンV8にファンカップリングは必要ありません。ファンカップリングとは、ラジエターを通る空気温度が低い時にはクラッチ作用で滑る様に出来ていて、温度が上がると滑らない様になっていきますが、完全にロックはしません。これはメーカーが燃費の向上、エンジン負荷を減らすためのものですが、トルクの大きな大排気量エンジンには必要ないと私は思っています。それより、完全にロックしている直付けのモーターファンの方が確実にファンを回し、ラジエターに風を通してくれます。よく使われているステンレスの直付けファンは、高回転時に羽が真っ直ぐに変化していき、抵抗を減らしてくれる様にも出来ています。こちらの方が効率的。




もう一つ重要なのがファンシュラウド。ファンが回り空気を引くのですが、その空気がエンジンルーム外のフレッシュな空気を確実にラジエターを通る様にするのに不可欠です。
補強のために内側に折ってる様に溶接されていますが、ちょっとした抵抗になっているかもしれません。なるべく効率が良い様に作り直します。



今回もアルミで制作。空気が綺麗に引き込まれる様に作りました。
ファンは直結。見た目にも効率的にもこちらの方が良いですね。
これでアイドリング時の水温はだいぶ低くなりました。

ついでにサーモスタットも160℉オープンに交換しました。早めに開いて冷やしてやると、水温の上昇を抑えられます。




キャブレターを交換し、頼まれていたエアコンのアイドルアップを取り付け。
なぜかミッションのキックダウンリンクが付いてなかったので、ワイヤー式で取り付けました。これがなかったのでキックダウンレバーがぶらぶら変に動いてミッションの変速がおかしかった様です。




エンジンの調子も良くないです。基本点検をして、リークしていたプラグコードを交換しましたが、まだですね。点火時期を確認しようとすると、クランクのハーモニックバランサーにマークがあり、だいたい良さそうですがなんか違和感。1番のプラグホールから棒を入れ、ピストン上死点を出すと、全然マークと違います。時々ある事ですが、共通部品の多いアメリカのエンジンは、マークの位置が違う物が付いていることがあります。ごく稀に接着してあるゴムが剥がれたり劣化して、2重構造のハーモニックバランサーの内側と外側がずれたりひどいものはぐるぐる回ってしまったりするので、信用しきってしまうと迷宮入りになります。全てを自分で確認することと、違和感を感じ取ることが重要です。




エアコンのガスを入れてだいたい終了かと思いましたが、漏れ漏れでした。コンプレッサーや配管から漏れてます。お客様と相談し、コンプレッサーブラケットを制作し、R134aのコンプレッサーに交換し、配管も新調。苦労して付けてあったボディー下にあったコンデンサーもラジエター前に戻しました。ボディー下でも良かったのですが、コンデンサー用に電動ファンが2個、エンジンオイルクーラー用に電動ファン1個、ラジエター用に電動ファンが1個。合計4個の電動ファン。起動時1個20アンペアだとすると、エアコンを入れると室内のブロアモーターもあるので100アンペア近くがかかってしまいます。
コンデンサーをラジエター前に戻すと、電動ファンが2個減らせます。ロードテストは中々の感じ。ワイパーモーターが届いたら交換して、車検を取って納車になります。

その他パワーウインドー修理、ミッションオイル漏れ修理、などなどやらせていただきました。ありがとうございます。